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cBot開発のためのオブジェクト指向用語

2020年11月5日

とりあえず使えるようになろう

オブジェクト指向プログラミングでは自分でクラスを作ってそれらを組み合わせて目的のプログラムを作っていくのですが、cAlgoでは主要なクラス(オブジェクト)はすでに用意されてるので自分でクラスを作らずとも自動売買システムを作ることは可能です。

まずは「用意されてるオブジェクトを使えるようになる」ことを目的として学びましょう。

 

用語はある程度知ってた方がいい

EAプログラマーの方が、オブジェクト指向が敷居が高く感じる理由の一つとして、聞いたことないような用語が多いというところがあるのではないでしょうか。わからないこと調べようとしても、その先もわからない用語だらけで・・・となってしまってはせっかくのやる気も消え失せます。

ここではオブジェクト指向の話をする際に出くわしそうな用語について簡単に説明します。・・・まあ、こんなページ見るより先にチュートリアルでも実際にやってみた方が早いと思いますが。

なお、言語によって多少呼び名が変わったりすることはありますが、どれも概念は共通です。ここでの呼び名はMQLやC#で使われる呼び名を用います。

 

まずは復習

オブジェクト指向の話に入る前に、今までも触れたことがありそうな用語から復習していきましょう。

データの種類を表します。int は整数、doubleは小数(倍浮動小数点) stringは文字列など。MQLでもC#でも変数は必ず決まった型を持ちます。int型の変数にはint型のデータしか入れられません。例えばdouble型をint型に入れたいならキャストという型変換処理が必要です。

 

構造体

単純な型のデータをひとまとめにした「型」の一種です。MQL定義されてるのMqlDateTime構造体を例にとると

struct MqlDateTime{
    int year;             // 年
    int mon;               // 月
    int day;              // 日
    int hour;              // 時間
    int min;              // 分
    int sec;              // 秒
    int day_of_week;    // 週の何日目か
    int day_of_year;     // 年の何日目か
};

こんな感じでintがひとまとめにされてます。

自分で作ることも可能です。また、型の一種なのでintやdoubleと同じ感覚で宣言して使うことができます。

// 自分で作った構造体
struct HealthData {
   string name;
   int age;
   double height;
   double weight;
};

void OnStart(){
   // int等と同様に普通に宣言する
   HealthData dataA;
   
   //中のデータには.(ドット)でアクセス
   dataA.name = "Takeshi";
   dataA.age = 52;
   dataA.height = 168.3;
   dataA.weight = 60.5;
   // 使い方の例だけなので、このコード実行しても何も起きないよ
}

このコードはMQLもしくはC言語のコードですが、C#でも使い方は同じです。(作り方はこれじゃダメ。)

 

変数

データの入れ物です。MQLやC#では変数はすべてあらかじめ「型」つまりデータの種類を決めておく必要があります。MQLやC#では 「型名 変数名」のように宣言します。たとえばint i ;という記述があったら i はint(整数)型の変数、つまり「整数の入れ物」です。小数や文字列を入れることはできません。

C#のコードをみていると、var Name = "mybot"; のように、一見なんでもかんでもvarで宣言して、varという型不定の変数を作ってるように見えるかもしれませんが、これは中身から変数の型を自動的に決めてもらっているだけです。変数の型は一度決めたら変えられませんし、型不定の変数も作れません

 

関数

なんらかの機能を実現するいくつかの処理をまとめて簡単に呼び出せるようにしておいたものです。手続き型プログラミングは言ってしまえば作業としては「関数と計算処理を組み合わせて関数を作る→その関数と計算処理を組み合わせてさらに大きな関数を作る→...」の繰り返しです。

ただ決まった処理をしておしまい、ということもありますし、決まった型の変数を渡したら、なんか処理して結果として返してくれることもあります。

オブジェクト指向の話になると関数という言葉は聞くことが少なくなりますが、後にでてくるメソッドはつまりはオブジェクトの持つ関数です。

 

 

オブジェクト指向の用語

クラス

オブジェクト指向の肝です。構造体は「単純なデータをまとめたもの」でしたが、クラスは「データと振る舞い =機能(関数) をまとめたもの」です。構造体のすげーやつ。命が吹き込まれた構造体みたいな。(なんか詳しい人に怒られそうなのでそのうち別記事でちゃんと説明します)

using System;

namespace sample {
    class Program {
        // エントリーポイント
        static void Main(string[] args) {
            //手続き型的なやりかた
            HealthDataStruct structObject;
            structObject.name = "Takeshi";
            structObject.age = 52; 
            structObject.height = 168.3;
            structObject.weight = 60.5;
            double bmi = structObject.weight / (structObject.height / 100 * structObject.height / 100);
            Console.WriteLine($"{structObject.name}のBMIは{bmi:f1}です。");

            //オブジェクト指向的なやり方
            HealthDataClass classObject = new HealthDataClass("Takeshi", 52, 168.3, 60.5);
            Console.WriteLine($"{classObject.Name}のBMIは{classObject.GetBMI():f1}です。");

            Console.ReadKey();
        }
    }

    //=====================================
    // 構造体: ただのデータの集まり
    struct HealthDataStruct {
        public string name;
        public int age;
        public double height;
        public double weight;
    }

    //===================================
    // クラス: データと関数の集まり
    // BMI計算機能付き!
    class HealthDataClass {
        public string Name { get; private set; }
        public int Age { get; private set; }
        public double Height { get; private set; }
        public double Weight { get; private set; }
        public HealthDataClass(string name, int age, double height, double weight) {
            Name = name;
            Age = age;
            Height = height;
            Weight = weight;
        }
        public double GetBMI() {
            return Weight / (Height / 100 * Height / 100);
        }
    }
}

(ちょっと偏った思考ですがなんとなく構造体とクラスの違いのイメージを。cAlgoではなくC#コンソールアプリで書いてます。)

 

継承、ベースクラス、サブクラス、親クラス、子クラス

あるクラスをもとにして別のクラスを作成できます。C#だとこんな風に宣言します。

class Cat : Animal{ //書き方はclass 子クラス:親クラス
    // ・・・ここにクラスの中身を書く
}

Animalはすでにどっかに定義があるものとします。ここではAnimalクラスを継承したCatクラスを作成しました。CatはAnimalの子クラスとかサブクラスとか呼ばれます。逆に言うならAnimalはCatのベースクラス親クラスに当たります。

子クラスは親クラスのメンバをすべて持ちます。リファレンスを見ても目的のメソッドが見当たらない!ってときは親クラスまでたどって探してみてください。

 

オブジェクト

すべてのモノ。クラスや構造体が実体がオブジェクトと呼ばれることが多いです。なお、C#では変数の中身はすべてオブジェクトです。int型やdouble型もオブジェクトです。コードのどこかに「"mojiretsu"」があれば、これはstring型のオブジェクトですし、「7」 ならint型のオブジェクトと解釈さます。もちろんすべてのオブジェクトに型があります。

ちなみにインスタンスといったらクラスを実体化させたものを指します。ニュアンスの違いが伝わりにくいと思いますが、まぁとりあえずオブジェクトのことと思ってもらっといていいです。

型について

オブジェクト指向になると、大量のクラスを扱うことになるので「型」の種類が一気に増えます。子クラスは親クラスの性質をすべてもつため、親クラス型の変数には子クラスや孫クラスを入れることができます。子供が親のようにふるまえます。

しかし、そのままでは子クラス特有のメソッドは使えません。特有のメソッドにアクセスするにはやはりキャスト(型変換)が必要です。

 

プロパティ

プロパティは外から見えるオブジェクトの情報です。だいたいはオブジェクトが自分専用の変数として持ってます。とりあえずオブジェクトが持ってる変数のうち、外部に公開されてるものがプロパティと考えていいです。(厳密には違いますが、使うだけならこれでいいです。)

なお、このプロパティ内の情報自体ももちろんオブジェクトです。例えばcAlgoのChart型オブジェクトはBarsプロパティを持っていますが、Barsプロパティ自体がBars型のオブジェクトのため、Bars自身もBars型としてのプロパティを持っている、という形になります。

公開されてるといっても、「外部からは見ることだけが許されてるもの」と「外部から見るだけでなく、値を変えることも許されてるもの」の2種類があります。cAlgoでは圧倒的に「見ることだけが許されてる」方が多いです。当ブログのリファレンス記事では「値を変えることも許されてる」プロパティ名の後ろに {get; set;}と付記してます。

メソッド

メソッドはオブジェクトが持ってる関数 のことです。MQLでは標準関数としてどこからでも呼び出せたのに対し、cAlgo (C#) ではオブジェクト毎に自分専用の関数を持つため、関数(メソッド)の呼び出しは必ず持ち主のオブジェクトを通じて行います

なお、C#ではプロパティもメソッドもオブジェクト名に.(ドット)をつけてアクセスします。自分のメソッド内で自分のプロパティやメソッドを使うときは、直接プロパティ名、メソッド名を書けばアクセスできますが、thisという自分自身を表すキーワードを通じて呼び出すことも可能です。

 

メンバ

オブジェクトは自分専用の変数とプロパティ、メソッド(関数)を持ってます。MQLではどこからでも自由に変数や関数を使えたのに対して、オブジェクト指向ではオブジェクトを通じて、各クラス固有のプロパティや関数を使う、というのが大きな特徴です。

>これらオブジェクトの持つ変数、メソッド(関数)、プロパティなどを全部ひっくるめてオブジェクトのメンバといいます。C#ではオブジェクトの持つメンバ変数のことをフィールドと呼びます。

 

インターフェイス

インターフェイスは中身が空っぽのクラスです。プロパティやメソッドを持ってるのですが、中に変数は持たず、処理もからっぽです。そんなもん何に使うんだと思うかもしれません。

自動販売機の外側の箱だけみたいなのをイメージしてください。ジュースの種類を表示する窓もあるし、お金の投入口も、押しボタンもある、でも中にはジュースも機械もなにもない空っぽ状態なのでお金入れてもボタン押しても何も起きない。

この箱は何に使うか。もちろん中に機械とジュースを入れて使うんです。そしてこの箱を通じて自動販売機を操作してもらうんです。そりゃそーだ。

ここで重要なのは「箱の使い方さえわかってれば、中の機械のことなんてなにも知らなくてもジュースが買える」ということなんです。

ジュースを買うとき、中の機械がどう動いてるかなんて気にしないですよね、「ここにお金入れてボタン押せばジュースが出てくる」それさえ知ってれば十分です。

そして逆に言えば、それくらいのことしかできないので、間違った操作で中の機械を壊してしまったり変な設定にしてしまったりすることもないですよね。

インターフェイスとはそういうオブジェクトの操作パネル的な役割を持ったものです。

cAlgoAPIではほとんどがインターフェイスの型で提供されています。cBotを作りたい人は箱(インターフェイス)の使い方さえ知ってればいいのです。「中に入れる機械部分(オブジェクト)はcTrader側で準備するから気にすんな」ってことですね。

リファレンス記事上ではChartインターフェイスとかTradeResultクラスとかわざわざ種類を書いてますが、一切気にする必要はありません。クラスだろうとインターフェースだろうとcAlgo内で使うだけなら使い方は全く同じです。

インターフェイスもクラス同様、継承ができます。cAlgo APIでも様々な親子関係をもつインターフェイスが出てきます。子供は親のメンバをすべて持ってる、ということは覚えておいてください。

 

列挙型

ラベル代わりに使う型です。(これは別にオブジェクト指向の用語じゃないですが、説明の都合上こっちで。)

例えばPositionというクラスがあり、売りか買いかを表すTradeTypeというプロパティがあったとします。さて、この場合プロパティの型は何が適切でしょうか。int型にしておいて0なら売り、1なら買いとか決めておきましょうか。それでもいいのですが、なにかの間違いで2が入ってしまったらどうしましょう。-1が入ったら?こう考えるとめんどくさいですよね。じゃあどうするか。答えはTradeTypeを表すためだけに専用の型を作ってしまえばいいのです。こういうときに使うのが列挙型です。

実際にcAlgoではTradeType列挙型というのが定義されてます。TradeType型の変数(プロパティ)にはTradeType.BuyかTradeType.Sellのどちらかしか入りません。列挙型の変数(プロパティ)に入れられるのは列挙型名.~といった形だけになります。

MQLの列挙型と基本的に同じですが、cAlgoでは整数を列挙型に強制キャストみたいなことはしないで、列挙型は列挙型として使うことをお勧めします。

 

 

まずはやってみよう

読んでいただきありがとうございます。たぶん実際にチュートリアルも何もやる前に読んだ方はちんぷんかんぷんの内容も多かったのではないでしょうか。それが普通だと思います。

まずはやってみて、よくわからなくて調べてみて、「ああこれがそういうことか」と後からわかってもらえればそれでいいです。

少しでも興味がわきましたら初めてのcBotからぜひ試してみてください。

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