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【cAlgo】ナンピンマーチンcBot【Sample】

2021年4月10日

悪名高いナンピンマーチン

世の中にはいろいろなロジックのEAやcBotがありますが、ナンピンマーチンほどシステムトレード初心者を魅了し、そして地獄の底に蹴落としてきたロジックはないのではないでしょうか。

(EAやcBot・・・cTrader信者のajinoriとしては全部cBotと呼びたいところですが、一般的な呼び名で総称してEAと呼んでおきます。)

 

ナンピンマーチンとは

説明は不要でしょうが一応簡単に。

ポジションが損失を抱えたら、同じ方向で追加エントリーすることで、平均エントリー価格を下げる「ナンピン」と、負けたら倍掛けして負けを取り返すギャンブル手法「マーチンゲール法」を組み合わせたロジックです。

一般的にはポジションに一定以上の損失が出たらより大きなロットでナンピンして損失の相殺を図るロジック全般を総じてナンピンマーチンと呼ぶことが多いでしょう。

 

なんでダメなのか

一番大きな理由は破産リスクの大きさです。「マーチンゲール法」自体、無限に倍掛けできることを前提とした必勝法のため、ロットが資金的ににエントリーできないくらい膨れ上がった時点で口座破綻を起こします。

破産リスクを小さくするためには最初のエントリーをできるだけ小さくする必要がありますが、その結果リターンが少なくなり、その割にはそこそこの口座破綻可能性を秘めるという、どう頑張ってもハイリスクローリターンの設計になってしまうのです。

 

本当の問題

ハイリスクローリターンであると最初からわかっていれば誰も使うことはなく、ただすたれていくだけの手法のはずです。しかしナンピンマーチンロジックはいまだに人気・・・かどうかはわかりませんが、少なくとも有名です。

ナンピンマーチンの怖さは口座破綻のリスクが感覚的にはわかりにくい、という部分にあるのでしょう。人は小さすぎる確率を0として扱ってしまうんですよね。特にマイナスの事象に関しては。

「さすがに〇回も連続で負けるわけないっしょ!」って。この思考が破滅への道を着々と進んでいくのです。

また、EA開発の視点から言うなら、このロジックを使えば比較的簡単にきれいな右肩上がりのバックテスト結果が出せてしまうんで、EA販売をする人からしたら都合がよかったというのもあるかもしれません。

 

作ってみた

どうしてもナンピンマーチン=ヤベーやつというイメージが強かったため、手を出したことがなかったのですが、今回ブログのネタとして、至極単純なナンピンマーチンcBotを作ってみました。

ソースコードも公開してますので、よかったらなんかの参考にしてください。なるかわからないですけど。

 

何も考えないナンピンマーチンcBot

ロジック

最初に適当にエントリーします。プログラムに「適当に」とか言えないので、とりあえず起動時の最後のローソク足が陽線なら買い、陰線なら売りにしておきます。特に意味はないので別に逆でもいいです。以降、ずっと同じ方向でエントリーを繰り返します。

あとは設定値(Pipsパラメータ)以上損失が出たら倍掛けエントリーします。損失が相殺された時点でナンピンポジションは全決済します。

利確も同じ幅にして利確したら再エントリー、にしようかと思ったのですが、決済直後に再エントリーはさすがにあり得ないので、「最初のポジションは一番いいところで決済して再エントリーした」と仮定して、最初のポジションが一番いいところから設定Pips以上落ちたらナンピンさせるという設定にしました。

・・・説明がわかりにくくてすみません。ロジック気になる方はソースコード読み解いてください。

 

ソースコード

using System.Linq;
using cAlgo.API;
using cAlgo.API.Internals;

namespace cAlgo.Robots {
    [Robot(TimeZone = TimeZones.UTC, AccessRights = AccessRights.None)]
    public class NanMar : Robot {
        [Parameter(DefaultValue = 100.0)]
        public double Pips { get; set; }

        const string LABEL = "NanMar";
        const string COMMENT = "namping";
        TradeType _tradeType;
        Position _basePosition;
        Position _lastPosition = null;
        double _maxPips = 0;

        protected override void OnStart() {
            if (Account.IsLive && RunningMode == RunningMode.RealTime) {
                /* 当cBotはブログ記事用に作成されたサンプルcBotです。
                 * 何の工夫もないナンピンマーチンロジックにより売買を繰り返すため、高確率で口座破綻を引き起こします。
                 * 間違い防止のため、初期状態ではリアル口座で稼働ができないようになっています。
                 * リスクを承知の上、動かしたい場合はこのifブロックを削除の上ビルドしてください。 */
                Print("初期状態ではリアル運用できません。ソースコードを確認してください。");
                Stop();
            }
            // --- 適当に売買方向を決めて発注
            _tradeType = (Bars.LastBar.Close > Bars.LastBar.Open ? TradeType.Buy : TradeType.Sell);
            var res = ExecuteMarketOrder(_tradeType, SymbolName, Symbol.VolumeInUnitsMin, LABEL);
            if (res.IsSuccessful) {
                _basePosition = res.Position;
            } else {
                // --- 発注失敗したら一度止める
                Print(res.Error);
                Stop();
            }
        }

        protected override void OnTick() {
            // --- 初期ポジションの最大獲得Pipsを覚えておく。
            if (_basePosition.Pips > _maxPips) {
                _maxPips = _basePosition.Pips;
            }

            // --- ナンピンしてなくて、初期ポジションが最大Pipsより設定値以上落ちてるか、ナンピンポジションの損失が設定値を超えてたとき
            if ((_lastPosition == null && _maxPips - _basePosition.Pips > Pips) || (_lastPosition != null && _lastPosition.Pips < -1 * Pips)) {
                // --- 前のポジションの2倍ロットでナンピン
                var volume = (_lastPosition != null ? _lastPosition.VolumeInUnits : Symbol.VolumeInUnitsMin) * 2;
                var res = ExecuteMarketOrder(_tradeType, SymbolName, volume, LABEL, null, null, COMMENT);
                if (res.IsSuccessful) {
                    _lastPosition = res.Position;
                } else {
                    Print(res.Error);
                }
            }

            // --- ナンピンポジションが前の損失を相殺できてれば初期ポジションだけ残して全決済
            if (_lastPosition != null && _lastPosition.Pips > Pips) {
                var myPositions = Positions.Where(pos => pos.Label == LABEL && pos.SymbolName == SymbolName && pos.Comment == COMMENT);
                foreach (var pos in myPositions) ClosePositionAsync(pos);//本当はクローズされたか成否確認しないと危険。今回は面倒なので省略。
                _lastPosition = null;
                _maxPips = 0;
            }
        }
    }
}

たったこれだけのコードです。ろくに確認してないので説明と違う動きになってたらごめんなさい(笑)

あ、少しくらいはcBot開発の参考になりそうなこと書いておきます。

ポジションのラベルとコメント

cBotからの注文ではポジションにラベルとコメントがつけられます

あくまで私の使い方ですが、基本的にラベルはMT4のマジックナンバーと同じ感覚で使います。どのcBotから注文されたかわかるようにするため、基本的に一つのcBot内では同じものを使います。

コメントは注文に追加情報をつけておきたいときに使います。cAlgoのメソッドPositions.Findではコメントを指定しての検索はできないのですが、LINQを使えば特定のコメントのポジションだけ抜き出すことは可能です。

このサンプルではナンピンポジションであることをコメントに残し、一括決済時にコメントがついたものだけを取り出してすべて決済しています。

 

ダウンロード

いろいろ改造して試してみたいという方はこちらからどうぞ。

(2023/12/18 更新 古いものはバックテストレポートが出ないようなので、.NET6.0版に差し替えました)

 

バックテスト結果

10年バックテストの結果がこんな感じ。さすがにいい結果とは言えませんが、一応右肩上がりです。

ちなみに最適化一切なしの一発バックテストです。これはEURUSDの結果ですが、どの通貨でやってもだいたい同じような結果が出ます。

よく見ると資金が極大なのがわかるとは思いますが、つまりはそういうことです。100万円程度だとたとえ1000通貨から始めても破綻します。

こんな簡単なコードで、価格も一切見ないでトレードさせるだけなのに、資金さえあれば最適化もなしで右肩上がりのグラフが出るわけです。よく見ればおかしいのはわかるんですけどね。このリターンの少なさとか。

 

最適化してみた

最適化というかPips設定一つ変えただけなんですが、こんな荒いカーブフィッティングでもよさげなグラフができるから面白いですね。

トレード回数も増えて、目立ったドローダウンもうまい具合に隠れて、あとは縦軸の金額さえ目に入らなきゃいい感じです。(笑)

 

ちなみにこんな感じの時々下にスパイクが出てる直線右肩上がりグラフこそ、まさに典型的な損切りなしナンピンマーチンEAの特徴ですので見れば一目でわかります。

(確かMT4だと決済順序に気をつければ下方向スパイクは見えなくできた気がします。見えないとナンピンマーチンか損切りなしグリッド系EAか見分けつかないですが、cTraderなら見えてしまうため明白にわかります。)

間違ってもこんなグラフのEAにひっかからないようにお気を付けください。最近はまともな販売サイトであればナンピンマーチン使ってるかくらいは書いてあるので大丈夫だとは思いますが。

 

まとめ

実際に簡単なナンピンマーチンEA(cBot)を試してみることでその破産リスクの大きさとリターンの少なさを実感することができました。

皆さんもぜひ上記のコードをいじったり、プログラムがわからなければバックテストだけでもいろいろやってみてください。

もちろんこのロジック自体がナンピンマーチンの中でも特に酷いせいはあるのですが、こんなものですらなんとなくよさげなグラフに見えてしまうことを忘れてはなりません。

ロジックを改良して、ちょっとよさげなモノが出来上がったときに、正しくリスクとリターンを評価できるのでしょうか。ナンピンマーチンで一番怖いのはここだと思います。

もちろんナンピンマーチンのすべてを否定するつもりはありません。1回1回の勝率が独立事象のギャンブルでマーチンゲール法使うのに比べたら、FXでナンピンマーチン使う方がよっぽど理にかなっているのも確かです。

人によってはこれに、まともなエントリーロジック、ナンピンの仕掛け方、損切りの仕方など工夫に工夫を重ねて実用的なEAを作ることも可能なのだと思います。

でもそれって、第三者から見た時に中身もわからない状態でまともかどうか判断できるんですかね。少なくともグラフだけでは難しそうですよね。

基本的には「危うきには近寄らず」で敬遠しておく方が無難な気がします。

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